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法人解散時に売却できない山林や原野が問題となる場合の対処法

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2024年11月21日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月4日

法人を解散する際、資産の整理は避けて通れないステップです。その中で、特に売却が困難な山林や原野が資産として残っている場合、これをどのように処理するかが大きな課題となります。本記事では、法人解散時に売却できない土地が問題になる場合の対応策を解説します。



売却できない山林や原野が問題となる理由

法人が所有する山林や原野が売却困難である理由には以下のようなものがあります:

  1. 市場価値が極めて低い山林や原野は立地条件や用途によっては、ほとんど買い手がつかない場合があります。

  2. 利用価値がない農地や住宅地としても利用できない土地は、持っていても維持費だけがかかるため、需要が低い。

  3. 原野商法による購入法人が過去に詐欺的な原野商法で購入した土地である場合、取得価格に比べて実際の価値が著しく低いことがあります。

  4. 法的規制開発が制限されている土地や管理が必要な保安林は、売却に法的なハードルが生じることがあります。



解散時の対応策

1. 土地の評価を行う

解散に際しては、所有する資産の評価が必須です。売却困難な土地についても以下の方法で価値を見積もりましょう:

  • 不動産鑑定士による評価

  • 公示地価や路線価を基にした評価

  • 地元の不動産業者への相談

土地の評価額がゼロに近い場合でも、登記簿上の所有権を持つ限り管理義務は残ります。


2. 売却努力の継続

法人解散までに売却を試みることが必要です。以下のような売却方法を検討してください:


  • 地元の不動産業者への仲介依頼

    地元の小規模業者が売却の糸口を持っている場合があります。

  • 専門業者への一括売却

    山林や原野を専門に買取を行う業者への相談も有効です。

  • オークション形式での売却

    ネットオークションなどで広く買い手を募集する方法もあります。


3. 寄付や無償譲渡

売却が難しい場合、土地の寄付や無償譲渡を検討します。以下の選択肢があります:


  • 自治体への寄付

    ただし、多くの自治体では不要な土地の受け入れを拒否する場合があります。

  • NPO法人や公益団体への譲渡

    保全活動を行っている団体が受け入れる可能性があります。

  • 近隣住民や企業への譲渡

    隣接地の所有者に譲渡を持ち掛けると、場合によっては興味を持つことがあります。


4. 休眠法人として残す

売却できない土地が残る場合、法人解散を保留し、「休眠法人」として存続させる選択肢があります。これにより、土地の維持管理は法人のまま行い、解散時のトラブルを回避できます。ただし、法人税や登録免許税などのコストが発生します。


5. 放置する場合のリスク

所有権の放棄を検討する場合もありますが、日本の法律では土地の所有権を一方的に放棄することはできません。そのため、以下のリスクがあります:

  • 固定資産税の請求が続く

  • 土地の管理義務が残る

  • 環境問題が発生した場合の責任を問われる

土地を放置する前に、弁護士や不動産コンサルタントに相談することをお勧めします。



法的・税務面での注意点

  1. 解散時の残余財産処分  法人解散時に売却できない土地が残る場合、残余財産として債権者や株主に引き継がれる可能性があります。この場合、株主が土地の管理責任を引き継ぐことになります。

  2. 譲渡損失の計上  売却価値が取得価格を下回る場合、譲渡損失を計上し、法人税の軽減を図ることができます。

  3. 登記簿の管理  解散後も土地の登記簿が更新されない場合、トラブルの原因となることがあります。解散時に登記内容の整理を行いましょう。



まとめ

法人解散時に売却が難しい山林や原野がある場合、その処理は簡単ではありません。しかし、土地の評価、売却努力、寄付や譲渡などの選択肢を慎重に検討することで、解決の道を見つけることが可能です。解散後のリスクを最小限にするためにも、弁護士や不動産の専門家の助けを借りながら、計画的に進めることをお勧めします。



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