top of page

山林相続後の処分方法徹底ガイド:売却、活用、寄付、国庫帰属制度まで手続きの流れと注意点

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2024年12月17日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月4日

山林を相続したものの、「どう処分すれば良いのか?」と悩む方は多く存在します。活用するにもノウハウや労力が必要であり、売却するにも買い手が見つかりにくいこともあります。また、放置すれば固定資産税や管理コストがかかり続けるなど、負担ばかりが増えてしまうケースも珍しくありません。

本記事では、山林相続後の処分方法について幅広い選択肢を網羅します。売却・活用方法に加え、注目されている相続土地国庫帰属制度の利用など、最新の情報まで含めて解説します。相続後に後悔しないためにも、ぜひ参考にしてください。



1. 山林相続後の基本的な選択肢とは

山林を相続後に取れる一般的な選択肢は、主に以下の5つです。


  1. 売却する

    不動産市場で手放し、現金化する方法です。

  2. 活用する

    林業・農業・観光・再生可能エネルギー利用など、自ら収益モデルを作ることができます。

  3. 自治体への寄付

    公共の利益を目的として自治体に寄付することで、有効な地域資源化を図ることが可能です。

  4. 相続土地国庫帰属制度の利用

    条件を満たせば、国に土地を引き渡し、管理・負担から解放される制度を利用できます。

  5. 保有を続ける

    将来的な活用や資産価値向上を見据え、維持し続ける選択肢もあります。



2. 山林を売却する場合の流れとポイント


(1)専門家への相談

不動産会社や森林組合へ相談し、売却可能性や市場動向を確認します。

(2)境界確認・測量

正確な境界と面積確定は、売却交渉の前提条件です。

(3)価格査定と売却戦略

複数社から査定を取り、適正価格を見極めます。購入希望者探しや広告戦略も大切です。

(4)売買契約・登記手続き

売買成立後は、司法書士に依頼して所有権移転登記を行い、正式に引き渡します。



3. 山林を活用して収益化する方法

単なる保有から一歩踏み出し、価値を生み出す活用方法です。


  • 林業経営

    長期的な視点で樹木を育て、伐採・販売収益を狙います。

  • 農業・果樹園化

    農地転用が可能な場所で特産品の生産や6次産業化を検討できます。

  • 観光・レジャー事業

    キャンプ場、グランピング施設、自然体験ツアーなど、アウトドア需要にマッチした事業展開が可能です。

  • 再生可能エネルギー発電

    太陽光発電やバイオマス発電など環境配慮型ビジネスで収益化できます。



4. 自治体への寄付という選択肢

自治体によっては、地域活性化や環境保全の観点から山林の寄付を受け付けている場合があります。寄付することで維持管理や税負担から解放され、公共の利益に貢献できます。

注意点

  • 寄付には自治体側の受け入れ条件があります。

  • 活用目的や費用負担の有無、権利関係の整理など事前打診が必要です。

  • 寄付後は原則として戻すことが難しいため、慎重な検討が求められます。



5. 相続土地国庫帰属制度の利用

相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日施行の新制度で、相続人が要件を満たした土地を国に引き渡せる仕組みです。これにより、保有や管理の負担から解放される選択肢が広がりました。


利用条件例

  • 境界が明確であること

  • 隣接地との紛争・訴訟がないこと

  • 土壌汚染や不法投棄など、国が引き取る上での過大な費用負担がないこと


手続きの流れ

  1. 法務局への申請書類提出

  2. 審査(要件を満たすか確認)

  3. 負担金の納付(国に支払う手数料)

  4. 国庫への帰属決定


注意点

  • 全ての土地が対象ではなく、要件を満たさないと不許可となります。

  • 利用には申請手数料や一時的な費用が発生する場合があるため、事前確認が不可欠です。



6. 保有を続ける場合の注意点


  • 固定資産税負担

    利用しなくても課税されます。毎年のコスト計算が必要です。

  • 管理コスト

    荒廃防止のための下草刈り、境界標維持、倒木処理など、定期的な管理が必要。

  • 将来の計画

    将来的な活用や周辺開発計画、資源価値の上昇も視野に入れると、保有が有利になる場合もあります。



7. 税金・相続手続きの基礎知識


  • 相続税・贈与税:相続した山林の評価額で税負担が変わります。税理士へ相談し、適正申告を行いましょう。

  • 所有権移転登記:相続後は速やかに登記変更をすることで、売却・活用時のトラブルを防ぎます。

  • 補助金・助成制度の活用:国や自治体の森林整備、林業振興の助成金を活用すれば、活用コストを抑えることが可能です。



8. 専門家への相談でリスク軽減

山林相続後の処分には、法務・税務・林業経営・不動産知識など多岐にわたる専門性が求められます。不動産会社、森林組合、税理士、司法書士、弁護士などのプロへ相談することで、リスクを最小化し、最適な手続き・選択肢を見出せます。



まとめ

山林相続後の処分方法は、「売却」「活用」「自治体への寄付」「相続土地国庫帰属制度利用」「保有継続」と多岐にわたります。それぞれに必要な手続き、コスト、将来性、リスクがあります。制度や助成金の活用、専門家への相談を通じて、自分の状況にあった最適解を探りましょう。

負担を軽減し、資産を有効に活用するためには、情報収集と計画的なアクションが不可欠です。ぜひ本記事を参考に、最善の判断を下してみてください。


関連記事

すべて表示
相続登記未了通知が届いたら?初めての通知でも安心して対応するための基礎知識

1. はじめに ある日突然、「相続登記未了通知(長期間相続登記などがされていないことの通知)」という書類が届き、驚かれた方も多いのではないでしょうか。普段は聞きなれない言葉ですし、「自分に関係があるの?」「放っておくとどうなるの?」と不安に思われるかもしれません。...

 
 
山林相続をめぐる疑問を徹底解説!相続放棄・税評価・森林組合活用まで、後悔しないための完全ガイド

「 山林 相続 」は、都市部とは異なり利用価値の把握や維持管理が難しいケースが多く、相続人にとって大きな悩みとなることがあります。特に「 山林 相続したくない 」「 山林 相続 いらない 」と感じる方は少なくありません。しかし、相続を放棄すればすべてが解決するわけではなく、...

 
 
bottom of page