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山林の引き取りについて:不要な山林を手放す方法と注意点

  • 執筆者の写真: 一般社団法人日本不動産管財
    一般社団法人日本不動産管財
  • 2023年9月4日
  • 読了時間: 4分

更新日:2月4日

山林の所有者の中には、管理が難しくなったり、維持費が負担になったりして、山林の引き取りを検討している方も多いでしょう。山林を手放す方法やその際の注意点を詳しく解説します。



山林の引き取りが必要となる背景


  • 維持管理の負担:山林は定期的な手入れが必要で、放置すると森林の荒廃や害虫の発生、さらには近隣への迷惑となる可能性があります。

  • 固定資産税の負担:利用価値が低い山林でも、所有している限り固定資産税の支払い義務があります。

  • 相続による取得:相続で山林を取得したものの、遠方で管理できないケース。

  • 原野商法の被害:過去に詐欺的な手法で購入した山林が、実際には価値がなかった場合。



山林の処分方法


1. 不動産業者への売却

  • 専門業者を探す:山林や原野の買取を専門に行う不動産業者に相談します。

  • 買取価格の査定:土地の場所、面積、樹木の種類、アクセスの良さなどを基に査定が行われます。

  • 手続きの簡素化:専門業者は手続きに慣れており、スムーズな売却が可能です。


2. 自治体への寄付

  • 市区町村への問い合わせ:土地が公共の利益に適う場合、自治体が引き取ることがあります。

  • 寄付の条件:多くの自治体では、管理負担や財政的な理由から、不要な土地の寄付を受け入れない傾向があります。

注意点:寄付が受け入れられない場合も多いため、事前に自治体の方針を確認しましょう。


3. NPOや公益団体への譲渡

  • 環境保全団体への連絡:森林保全活動を行う団体が土地を受け入れる可能性があります。

  • 社会貢献としての意義:自分の山林が環境保護や地域活性化に役立つ可能性があります。

注意点:団体によっては、管理能力や資金の問題から、土地の受け入れが難しい場合があります。


4. 隣接地の所有者への売却や譲渡

  • 近隣住民との交渉:隣接地を所有する方が土地の拡大を希望している場合があります。

  • メリットの提示:境界線の調整や土地利用の効率化などの利点を伝えます。

注意点:隣接地所有者も同様の問題を抱えている可能性があるため、交渉は慎重に行いましょう。


5. インターネットでの売却

  • 不動産サイトへの掲載:山林の売買を扱うサイトに情報を掲載します。

  • SNSでの情報拡散:個人のネットワークを活用して買い手を探します。

注意点

  • 情報の適切な開示:土地の状態や法的な問題点を正確に記載しないと、後々トラブルになる可能性があります。

  • 詐欺や悪徳商法に注意:個人間取引では詐欺のリスクが高まるため、信頼できるプラットフォームを利用しましょう。



山林の所有権を放棄することはできるのか

日本の法律では、土地の所有権を放棄することが可能となりました。2023年4月1日に施行された改正民法により、一定の条件下で土地の所有権放棄が法的に認められています。


所有権放棄の条件

  • 相続または遺贈を原因として取得した土地であること(相続登記が必須です)

  • 境界標があり、境界が明確であること(隣地の許可が必要になります)

  • 勾配が30度以上であり、かつ、その高さが5メートル以上でないこと

  • 土地に有体物がないこと

  • その他、複数の条件あり



山林の引き取りに関する注意点


法的手続きの確認

  • 登記の変更:所有権移転には登記の変更が必要です。手続きを怠ると、法的なトラブルの原因となります。

  • 境界の明確化:土地の境界線を明確にしておくことで、隣地所有者との紛争を防げます。


費用の把握

  • 譲渡所得税:売却によって利益が出た場合、譲渡所得税が発生します。ただし、取得価格よりも売却価格が低い場合は、課税されないことが多いです。

  • 手数料や諸経費:不動産業者への仲介手数料、登記費用、測量費用などを確認しましょう。


固定資産税の負担

  • 固定資産税の免除:土地の評価額が極めて低い場合でも、固定資産税が完全に免除されるわけではありません。

  • 滞納のリスク:固定資産税を滞納すると、財産の差し押さえなど法的措置が取られる可能性があります。


詐欺に注意

  • 高額な費用の請求:引き取りを口実に高額な手数料や測量費用を要求する業者に注意。

  • 契約内容の確認:不利な条件がないか、契約書をしっかりと確認します。


専門家への相談の重要性

  • 弁護士や司法書士への相談:土地の放棄や売却には複雑な法的手続きが伴うため、専門家のサポートが不可欠です。

  • 無料相談窓口の活用:自治体や弁護士会が提供する無料相談を利用すると、初期費用を抑えられます。



まとめ

山林の引き取り、処分を検討する際は、複数の方法とそのメリット・デメリットを比較検討することが重要です。売却や寄付、譲渡、所有権の放棄など、自分の状況に合った方法を選びましょう。また、法的手続きや費用、詐欺のリスクにも注意が必要です。最終的には、専門家のアドバイスを受けながら、安全かつ確実に山林を手放すことを目指しましょう。


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