山林火災・土砂災害が発生したとき、所有者はどこまで責任を負うのか?
- 一般社団法人日本不動産管財
- 2023年10月31日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前
「山火事のニュースを見て、自分が持っている山林が心配になった」 「近隣で土砂崩れが起きたが、自分の土地も同じような地形かもしれない」
こうした不安を抱える方に向けて、この記事では“山林所有者が災害時にどのような責任を負う可能性があるのか”、そして“どのようにリスクに備えるべきか”を、法律と実務の両面から解説します。
山林の所有者に課せられる責任とは?
民法第717条では、土地や工作物の所有者は「通常の注意義務」を果たしていなければ、被害を受けた第三者に対して損害賠償責任を負うと定められています。これは山林にも当然に適用されます。
倒木で道路や住宅を損壊した場合
山火事が自分の所有地から発生し、延焼した場合
崩落した土砂が近隣の家屋や道路に流れ込んだ場合
これらはすべて「管理不足」と見なされる余地があり、訴訟に発展するケースも存在します。
山火事における所有者責任
日本国内では年間1,000件以上の山火事が発生しています。山林が乾燥しやすい春〜夏にかけて、焚き火やタバコの不始末、雷などが原因で火災が起きます。
出火元が自分の山林だった場合、たとえ過失がなくても所有者が原因調査や消火協力に巻き込まれることがあります。
管理されていない枯れ草や放置木材が火災の拡大要因とされると、責任を問われる可能性が高くなります。
土砂崩れにおける所有者責任
特に傾斜地にある山林では、大雨や地震により土砂崩れが発生するリスクが常にあります。
法的には「自然災害による不可抗力」とされることもありますが、
擁壁が壊れていたのに修繕されていなかった
地盤が緩んでいると分かっていながら放置していた
といった事情がある場合、所有者の「過失」が認定される可能性が出てきます。
管理しない山林=リスク資産
災害の発生確率は低くても、実際に起きたときの責任は重大です。以下のような「所有しているだけで発生するリスク」を見直しましょう。
倒木、枯木による道路損壊
不法投棄や焚き火による火災誘発
擁壁・排水路の老朽化による地滑り
これらを放置していると、「知らなかった」では済まされない可能性があります。
対策:山林所有者が今すぐできること
所有地の現況確認(地番・地形・立木の状態)
火災・倒木・土砂崩れの発生履歴があるかを調査
伐採・補修・標識設置などの予防措置
売却や引取を含めた処分も選択肢として検討
まとめ:ニュースは「他人事」ではない
災害報道を目にしたとき、それを“警告”として受け取ることができるかどうかで、将来のリスクは大きく変わります。
山林をお持ちの方は、管理・活用・処分のいずれかを早めに判断することが、安全と安心への第一歩です。
当社団では、所有地の調査から引取相談まで無料で対応しております。まずはお気軽にお問い合わせください。